• 百束 比古(HYAKUSOKU HIKO)

その14 皮膚癌・肉腫とその形成再建手術―今回は表皮内癌


皮膚癌について語る時、表皮内癌に触れないと資格を失うことになろう。表皮というのは表面から、角質、顆粒層、有棘層、基底層となっており、その下は真皮だが、基底層と真皮の間には基底膜というバリアがある。血管やリンパ管は真皮には行くが表皮には行かない。そういう意味で基底膜はバリアなのである。しかし、神経は表皮まで行く。血が出ない擦りむきキズでも痛いのはそのためである。


何が言いたいかといえば、癌細胞は血管やリンパ管がなければ転移しようがないのである。従って癌が表皮内に留まっていれば転移しないのである。


表皮内癌として最も有名(?)なのは「ボーエン病(Bowen病)」である。これは、有棘細胞癌の表皮内癌である。転移しないから適切に除去すればもう心配がないのである。次に有名なのが「パジェット病(Paget病)」である。これは汗腺から発生するので、乳房パジェット病と乳房外パジェット病がある。乳房外の多くは外陰部であるが、稀に腋窩にも生じる。しかし、この病気は容易に基底膜を越えて浸潤し、パジェット癌に移行して、所属リンパ節に転移することがある。また、稀ではあるがメタノーマの表皮内癌もある。これは、Melanoma in situ (メラノーマ イン サイチュー) といって、まだ表皮内に留まっているメラノーマである。臨床診断の上、十分な拡大切除を行えばよいが、病理組織診断で確認が必須である。


  ボーエン病、年余に亘って治らない皮疹。  

手術:辺縁5mmで切除し縫縮する。


外陰部に生じた乳房外パジェット病

周囲どこまで切除すればいいかmappingという手法で同定し必ず遊離分層植皮を行う。


いずれにせよ、表皮内癌の摘出後は縫合できればそれでよいが、できない場合は分層植皮が望ましい。再発の観察や再手術の場合摘出範囲を拡大しないためである。


次回は乳癌の乳房切除後乳房再建にについて述べる。

© 2020 Hiko Hyakusoku

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