百束 比古(HYAKUSOKU HIKO)
その15 顔面熱傷の形成外科的治療について
顔面は露出部であり、熱傷を受けやすい部位である。顔面熱傷で問題となる部位は、まず角膜潰瘍で失明させないようにまぶたの処置が一番である。まぶた即ち上下眼瞼は元々眼輪筋に薄い皮膚が乗っている部位なので、熱傷で兎眼(閉瞼障害)が来そうであれば至急全層植皮を行う。ここで私は、ワイアーフレ〰ム外固定法という工夫をした。
(参考論文)
Hirai,T.,Hyakusoku,H. and Fumiiri,M.:The use of wire-frame to fixgrafts externally.Br.J.Plast.Surg.,44:69-70,1991.

3度熱傷の顔面。術前。

上下眼瞼の植皮。ワイアフレーム外固定により生着率が高まる。
次に気をつけるのは口である。口角の瘢痕拘縮で食事ができないとか入れ歯が入らないなどの機能障害が生じ得る。しかし、角膜潰瘍のような不可逆的は障害は来さないので、、さほど緊急性はない。口角拘縮による小口症の手術的治療の写真はその5の正方弁法の項で出してあるので参考まで、

ワイヤフレーム外固定法による下口唇の植皮

1年後の状態。
次に問題となるのは耳介、外鼻といった突起した部分である。これらは熱傷によって感染が起きると軟骨炎を併発し、変形の原因となるので、早めの植皮が必要である。
次回は手の熱傷とその手術について述べる。