• 百束 比古(HYAKUSOKU HIKO)

その11 皮膚癌・肉腫とその形成再建手術――メラノーマから

代表的な皮膚癌には、うな重のように「松竹梅」がある。これh悪性度の高い順であり、最も悪性度の高い松は「悪性黒色腫」であり、次は「有棘細胞腫」であり、比較的悪性度の低いのが「基底細胞腫」である。また、これら代表的な3種類の皮膚癌以外にも、Paget病、Bowen病などがある。肉腫としては「隆起性皮膚線維肉腫」「悪性線維性組織球腫」が代表的である。以下これらについてその特徴と主な再建手術法など箇条書きに列挙する。


1.悪性黒色腫Malignant Melanoma

所謂メラノーマである。しかし、マリグナント(悪性)を冠しないと不正確である。なぜなら、若年性黒色腫という良性のメラノーマもあるからである。また、Melanoma in situ と言ってまだ表皮に悪性細胞が留まっている場合は、転移もなく完全摘出をすれば完治するので、悪性度は低いといえる。

しかし、一般的にメラノーマというと悪性黒色腫のことを指すので、以下、メラノーマと略称する。

日本人ではメラノーマは、足の裏、足の爪に目立ってできる。しかし、外国では顔や手などの露出部が多い。ここに人種間の差がある。私は1993年にシドニーに留学したが、メラノーマは恐らく日本人の100倍あった。紫外線が誘発するそうで、昔白人が沢山のアポリジニを殺して大陸を征服したので、ばちが当たってメラノーマだらけになった、というような自虐的な逸話を聞かされた。それはともかく、メラノサイトの少ないコーカサス人種が太陽の眩しい、言い換えれば紫外線の強い南半球に移住したのがメラノーマ罹患率を高めたのは確かで、南アフリカなども同様のようである。

また、日本人の足の裏のメラノーマが多いのは、家の中で裸足で歩くから刺激を受けるからだろうと、シドニーで言われたが、これには同意しなかった。なぜなら、柔道家にメラノーマが多いなどというのは聞いたことがないからである。

さて、本題に戻そう。メラノーマは神経原性の癌であり、容易にリンパ腺や全身に転移する。治療は広範囲摘出および化学療法である。それでも5年生存率は良くない。

私の40年間の大学病院生活で治療に参画したメラノーマ症例は、20例ほどであろうか。その内半数位は生存していると思う。以下に、踵にできたメラノーマで、広範囲摘出、踵再建、化学療法などの結果、もう20年以上お元気な症例をお見せする。


かかとにできたメラノーマ。土踏まずから皮膚皮下脂肪を皮弁として移動するプランを示す。

メラノーマの拡大摘出と皮弁の酒性。



手術後10年。かかとは痛みもなく良く歩ける。



メラノーマと黒子や母斑との鑑別。

よくテレビなどで、ボクロの癌の特集があり、その度に心配になって皮膚科に来診する方がいる。確かに足の裏や手の平の黒い腫瘍は私ほどのキャリアをもってしても悩むことがある。

しかし、悩むものはホンの一握りで大方は心配ないものである。少なくとも直径が4mm以下で、1年前とサイズが変わっていなければメラノーマではない。しかるに、やや大きく不整形のもの、周囲に染み出しがあるものは要注意である。しかし、メラノーマは中を切ってはいけない、何故ならば切ることで転移を促すからである。従って、怪しいと思ったらやや大きめに切除し病理結果がもしメラノーマであったら、直ちに拡大切除できる体制を準備していなければならない。


以下に典型的なメラノーマの症例をお見せする。

次回は竹梅の有棘細胞腫(癌)と基底細胞腫(癌)について述べる。




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