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  • 執筆者の写真百束 比古(HYAKUSOKU HIKO)

その15  癌摘除手術のあとの再建――1.乳房再建

今でこそ乳癌による乳房切除後の乳房再建は、乳癌治療の一環として認識されているが、私が形成外科を専攻した1980年頃は、有望な方法がまだ開発されていなかったこともあり、殆ど行われていなかった。それがその頃上部茎腹直筋皮弁という有茎皮弁が開発されて、乳房再建に火がついと記憶している。さらに、1980年台の後半になると、深下腹壁血管を付加した遊離腹直筋皮弁がマイクロサージャリーを用いて移植すると自由度もあり乳房再建に有用な皮弁とされ多用された。実際に私が1992年に、シドニーの王立アルフレッド王子病院に形成外科部長のペニントン博士を、1年後の留学の挨拶で訪問した時、彼は多くの遊離腹直筋皮弁での乳房再建を見せてくれた。実は私自身も、日本で同様の手術を行っていたが、症例数が全く違ったのを記憶している。

シドニーでペニントン博士と施行した遊離腹直筋皮弁による乳房再建。




再建前の状態。 再建後の状態。



私が帰国後日本医大で施行した乳房再建。


再建前の状態。



遊離腹直筋皮弁のデザイン。



術後半年の状態。



乳房再建の方法は他にもあり、背中の広背筋皮弁を用いる方法は日本の酒井成見先生が得意としている。また、ボリュームを出すためにエクスおアンダーを入れ、コヒーシブシリコンバッグと交換する方法も遍く行われている。


次回は頭頸部癌の再建について述べる。



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