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その16  癌摘除手術のあとの再建 〜 2.頭頚部癌

  • 執筆者の写真: 百束 比古(HYAKUSOKU HIKO)
    百束 比古(HYAKUSOKU HIKO)
  • 2020年9月23日
  • 読了時間: 2分

形成外科の関与する重要な疾患に、頭頚部癌がある。頭頚部癌は摘出が基本であるが、喪失した組織を補わなければ治療が完了したとは言えない。頭頚部には外見に関する。組織や機能に関する重要な組織があるので、その再建術こそが患者の術後のQOLを左右するからである。然して、マイクロサージャリーがその発展に果たした役割は計り知れない。

以下に主な発癌部位とその再建に使用される組織を羅列する。

1、 眼窩眼瞼―側頭筋弁、遊離皮弁(DP,SCIPなど)

2、 上顎―骨付き遊離筋皮弁、遊離皮弁

3、 下顎―遊離骨弁(腓骨など)、遊離皮弁(RFなど)

4、 舌―遊離筋皮弁、遊離皮弁

5. 下咽頭・食道―遊離空腸など

以下に実際の再建例を見せる(これらの症例の執刀は弟子の、陳貴史医師による。)

舌癌の遊離腹直筋皮弁による再建。


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舌癌の手術前。


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遊離腹直筋皮弁のデザイン。


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再建後の状態。


下顎癌の再建例。


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癌の切除後。下顎骨の欠損。



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摘出した下顎骨。



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遊離腓骨皮弁のデザイン。



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腓骨をを3つ切って組み合わせ、下顎骨の形状にしてマイクロサージャリーで移植する。


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下咽頭癌の摘出後、食道再建を行う。



下咽頭癌切除後。食道も気管も切除されている。

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マイクロサージャリーによって再建された食道



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再建に使用された空腸。


頭頚部癌再建の歴史においては、現状はすべてマイクロサージャリーの発展によるところが大きい。マイクロサージャリーを用いて血流の豊富な組織を移植することは、一種の再生医療であり従来の有茎の組織移植に比べて遥かに感染が少ないといえる。従って、形成外科医にとって確かなマイクロサージャリーの技術は必須といえる。次回では、下肢の形成再建外科について述べる。

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