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  • 執筆者の写真百束 比古(HYAKUSOKU HIKO)

その17 レーザー以外の光機器による美容医療

レーザー以外の美容用光機器には例えばIPLがある。

レーザー光はあざやしみの原因となるメラニン色素や、血管腫のヘモグロビン色素などを選択的に破壊する。例えばしみとり用のレーザーは、しみだけを、傷跡を残すことなくきれいに取る事ができるのだが、逆にしみとり用のレーザーでは赤ら顔や血管腫の原因であるヘモグロビンは破壊できない。であるからもし顔の赤みとしみを同時に治療したい場合、少なくとも2種類のレーザーを照射する必要があることになる。


一方で、カメラのフラッシュなどに使われているキセノンランプは、色々な色(波長)を含んでいる。つまり色々な種類のレーザーを同時に当てることと同じような効果が期待できると言うことである。フラッシュランプの中のある光(波長)は皮膚のメラニンに作用し、くすみやしみを取る。また別の光はヘモグロビンに作用して赤ら顔などの原因である微小な毛細血管を攻撃する。またレーザーは一度に照射できる面積〈スポット径〉が小さいために、大きな面積を照射するのには時間がかかるが、フラッシュランプはそれに較べると大きいので、一度に大きな面積を治療することができる。


しかしフラッシュランプは色々なものに効き目のあるのだが、一回での治療効果はレーザーにかなわない。そこで何回も継続して照射を受ける必要がある。これはフラッシュランプの欠点のようだが、実は利点でもあるのだ。つまり、弱い光でも繰り返し当てることによって、皮膚のきめが細かくなり、こじわが取れたり、皮膚が張ってくるなどしみとりのレーザーにはない効果もあるのである。また、一回あたりのエネルギーが少ないのでレーザーでしみを取るときのように皮膚がやけどを起こすと言うことがない。


レーザーとの使い分けだが、もし顔中にしみがたくさんあり、同時にしわやたるみも気になるようであればこのフラッシュランプを選択するのがよいと思う。しかし、顔の一箇所か二箇所程度にしみがあり、これだけの治療を希望するのであればむしろレーザーの方が効果的である。


このようなフラッシュランプ治療機器は一般的にはフォトフェイシャルとかIPL(intense pulsed light)と呼ばれている。最近の機種ではフィルターを使って、少し専門性を持たせた機種もあり、脱毛やにきび治療が可能なタイプもある。

下図は様々のIPL脱毛器。



次にラジオ波について述べる。

ラジオ波とはいわば電子レンジの原理で皮膚の深層に熱を与えるものと思ってくれればよい。例えば、サーマクールTMという機器が知られている。これはラジオ波の装置である。

RF(Radio Frequency)は電気エネルギーの一種の高周波エネルギーで、皮膚の色素(メラニン・ヘモグロビン等)に全く影響されないため、真皮層や皮下組織など皮皮膚下の深い組織にまでエネルギーが到達する。そして皮膚の電気抵抗によって、強い熱を発生させ真皮や皮下組織に熱を与えることができるので、これまで困難だった肌老化の根本的な治療を可能にしたのである。


 RFを利用した治療機器には、フォトRF(別名オーロラTM)、サーマクールTM、ポラリスTMの3種類があり、それぞれ到達する深さやパワーが少しずつ違うので、肌の状態に合わせて使い分けたり組み合わせたりすることで、高い効果を上げることができる。

RFは主に乾燥が原因の小ジワ(ちりめんジワ)には効果はないが、肌老化が原因の深いシワやタルミには有効である。


これらは、加齢による保水力の低下、皮膚のハリや弾力を保つコラーゲンの変性(固くなったりもろくなったりすること)、新たなコラーゲンを産み出す線維芽細胞の減少などのほか、加齢による表情筋の衰え、コラーゲンやエラスチンのハリと復元力が低下することなどが複合的に重なって起こるもの、さらに皮膚を支える組織が緩むことで、シワやたるみが進行するのである。


 このような状態になった肌にRFエネルギーを送り込むと真皮層や皮下組織に熱が発生し、コラーゲンなどが変性収縮する。さらに数ヶ月にわたって新しいコラーゲンが産生されることで、皮膚が引き締まり、開いた毛穴も収縮して、ハリをよみがえらせることができるのである。


この治療の長所は、ダウンタイムがないこと(すぐに化粧して帰れる)、短所は若干の痛みがあることであろう。しかし、とくに頬から首にかけてのたるみ取りには、非外科的手法としてまず試してみてもよい方法ではないだろうか。また、同様のたるみ取り効果が期待できるものに、赤外線(タイタンTMなど)やウルセラTMがある。

下図はラジオ波の機器の一つである。


次回はボトリヌス菌毒素について述べる。

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