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  • 執筆者の写真百束 比古(HYAKUSOKU HIKO)

その5 面状瘢痕の処置について

面状瘢痕とは擦過創や熱傷後に生じる瘢痕で、損傷の程度が深いほど肥厚性瘢痕も厚く治り難い。通常は線状瘢痕と同じく3ヶ月をピークにして半年を過ぎると徐々に赤みが取れ瘢痕も軟化して所謂成熟瘢痕になっていく。しかし、厚い肥厚性瘢痕の場合や体質的にケロイドになりやすい人では、肥厚性瘢痕の状態が長引く。更に、関節部や頸部のような可動部では、運動制限を来す瘢痕拘縮になることが多い。これらの手術的治療については、熱傷の項で述べて行くので、ここでは保存的治療について述べる。


上述のような自然経過は、以下のような治療を加えることでより良好な結果を生む。


①軟膏塗布:発赤や掻痒が強い場合は、ステロイド外用剤の使用もやむを得ないが、連用すべきではない。寧ろヘパリン類似物質含有軟膏やクリームの塗布など非ステロイド系外用剤を勧める。


②ステロイドテープによるODTは、範囲の狭い面状瘢痕では使用してもよいが、広範囲の貼付はステロイドの全身的影響もあり避けるべきである。


③シリコンシート貼付+圧迫療法:範囲が極端に広くなければ、これに包帯などを巻いて保湿と圧迫を加えるのは効果的である。但し、四肢などは包帯による血流障害に注意が必要である。


     熱傷による肥厚性瘢痕         シリコンシートと

                        圧迫療法で2年後の状態

次回では、線状瘢痕と面状瘢痕の双方の性質をもつ、リストカットスカーについて述べる。

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