百束 比古(HYAKUSOKU HIKO) 2020年10月21日 2 分 その20 SCAP(浅頸動脈穿通枝)皮弁による熱傷瘢痕拘縮再建とその応用 項部を基点にして前頸部や後頭部を被覆できるSCAP(浅頸動脈穿通枝)皮弁はその挙上しやすさ、1:3位の大きさでも薄くできること、島上皮弁にできることなどから、種々の使い道がある有用な皮弁である。オリジナルのヒントは元慶応大学形成外科助教授の中嶋英雄先生の論文にあるが、私は早...
百束 比古(HYAKUSOKU HIKO) 2020年10月18日 1 分 その19 超薄皮弁の遠隔移植で手背の瘢痕拘縮を再建する。 その8で触れた留学生であった高建華先生が、中国で行った超薄皮弁の遠隔移植で手背の瘢痕拘縮を解除して被覆に供している写真を見せてくれ、その素晴らしい結果に驚いた。これもまた、私が超薄皮弁の研究と開発に邁進するモチベーションになった。 左の4枚:高先生が留学前に中国で行った症例...
百束 比古(HYAKUSOKU HIKO) 2020年10月7日 1 分 その18 圧挫熱傷(ヒートプレス損傷)の形成外科的治療について ヒートプレス損傷は、クリーニング業に特有な外傷で、アイロンのようなプレスの機械に手を挟まれて受傷する。手が熱した金属に挟まれると言えばわかり易い。特に指を挟まれると熱傷の深度は深く、腱や関節の損傷を合併すると機能障害を来す。また、熱傷創が深いと遊離植皮では生着し難く、何らか...
百束 比古(HYAKUSOKU HIKO) 2020年9月30日 2 分 その17 小児熱傷の形成外科的治療について 小児はそれからの成長があるため、成人の熱傷再建とは全く異なる。熱傷によって生じた瘢痕・瘢痕拘は常に成長を考慮して対応する必要がある。言い換えれば、熱傷後の瘢痕拘縮が骨の成長を阻害するような身体の成長障害の原因になったり、精神的な非社会的要因すなわちイジメや不登校の原因になら...
百束 比古(HYAKUSOKU HIKO) 2020年9月22日 1 分 その16 手熱傷の形成外科的治療について 手の熱傷は注意が必要である。特に手指も含む手背のDDB(2度深達性真皮熱傷)では、植皮の遅れが将来不可逆的な手指の関節可動障害と変形を来すからである。要するに熱傷深度の評価を迅速に行い、受傷2,3日以内に植皮をする必要がある。 手掌側の熱傷は手背側ほど超早期の植皮はいらない...
百束 比古(HYAKUSOKU HIKO) 2020年9月16日 1 分 その15 顔面熱傷の形成外科的治療について 顔面は露出部であり、熱傷を受けやすい部位である。顔面熱傷で問題となる部位は、まず角膜潰瘍で失明させないようにまぶたの処置が一番である。まぶた即ち上下眼瞼は元々眼輪筋に薄い皮膚が乗っている部位なので、熱傷で兎眼(閉瞼障害)が来そうであれば至急全層植皮を行う。ここで私は、ワイア...
百束 比古(HYAKUSOKU HIKO) 2020年9月8日 2 分 その14 熱傷による頸部顔面の瘢痕拘縮治療には超薄皮弁―さらなる穿通枝利用の可能性 今まで述べなかったが、私が何故超薄皮弁という植皮に近づくような、極端に薄い皮弁を追求したかというと、血流のある状態で移植する皮弁は、一度血流を途絶した状態で移植する遊離植皮に比べて、当初より柔らかく色素沈着もなく後療法も要らないという遊離植皮にはない利点からである。 超薄皮...
百束 比古(HYAKUSOKU HIKO) 2020年9月1日 2 分 その13 熱傷による頸部顔面の瘢痕拘縮治療には超薄皮弁―エクスパンダの応用 超薄皮弁を拡大するには、末梢部に穿通枝などの微小血管付加が必要である。しかし、これにはマイクロサージャリーが必要であり、特殊な技術が必要であり手術時間もかかる。それを複数回の手術を要するという犠牲を厭わなければ、エクスパンダーを皮弁を予定する皮下に予め挿入して、安全確実に超...
百束 比古(HYAKUSOKU HIKO) 2020年8月25日 1 分 その12 熱傷による頸部顔面の瘢痕拘縮治療には超薄皮弁―有茎+微小血管二重付加によるギネスブックものの薄く大きな超薄皮弁の成功 顔面頸部の高度熱傷後瘢痕拘縮では、背部より可成り大きな薄い皮弁が必要になる。そこで背部片側の大部分を皮弁にできないかと考えた。その結果、従来の後頭頸背部(OCD)超薄皮弁の茎部は有茎で皮弁の末梢部に「肩甲回旋血管」と「第6肋間穿通枝」付加させてマイクロサージャリーで吻合する...
百束 比古(HYAKUSOKU HIKO) 2020年8月19日 1 分 その11 熱傷による頸部顔面の瘢痕拘縮治療には超薄皮弁―完全二重血管付加超薄皮弁への発展 それまでの超薄皮弁は血管付加の有茎皮弁であったので、茎基部を軸にして移植に供するため、移動に制限があったのが、唯一の欠点であった。そこで、超薄皮弁の両側に血管付加を行って、云わば二重血管付加で遠隔移植できれば、この欠点を補えると考えた。 以下に私の考案した超薄皮弁の茎による...